今回から3回に分けて『現在完了』について学習します。
高校入試でもよく出題される単元なので、しっかりと学習しましょう!

今日は『現在完了』を勉強しよう!
現在完了は時制の一種だよ。



時制ですか?



現在、過去、未来などの「時」を表すのが時制ですよね?
私は模試で時制のミスが多くて困っています…



そうだね。
中学生はまだ英語学習の経験値が低いので、時制のミスが多い時期だね。
現在完了は今まで習ってきた時制と比べるとだいぶ複雑だけど、ポイントを押さえてきちんと勉強すれば大丈夫。しっかり学習しよう!
現在完了とは?


現在完了は、「過去」の出来事が、何らかの形で「現在」と関係していることを表します。過去と現在がどのように関係しているかは後ほど説明します。
ここでは、
過去のことだけを言うときは過去形や過去進行形で表せばよいし、現在のことだけを言うときは現在形や現在進行形で表せばよい。
過去と現在の両方について言いたいときに現在完了を使う。
という点をしっかり押さえておきましょう。
現在完了の形


現在完了では、「主語(S)+動詞(V)」のVの形を「have + 過去分詞(p.p.)」にします。主語がHeやSheなど3人称単数のときには、当然haveはhasになります。
特に注意が必要なのが、否定文と疑問文です。今まで学習してきたhaveは一般動詞なので力が弱く、do[ does, did]に手伝ってもらって、否定文はdo not[does not, did not]の形で表し、疑問文はDo[Does, Did]を文頭に置きました。
ところが、現在完了のhaveは力が強いので、have[has ]が自分でnotを引っ張ってきてhave not[has not]の形で否定文を、Have[Has]が自分で文頭に出ていって疑問文を作ります。
YesやNoの返答も、Yes, we have. やNo, she hasn’t.などのように、have[has]が自分で作ります。(have notの短縮形はhaven’t、has notの短縮形はhasn’tです)



一般動詞のhaveはdoに手伝ってもらって、現在完了のhaveは自分で…
頭が混乱しそうです💦



実は、現在完了のhaveは助動詞なんだよ。
つまり、canやwillなど他の助動詞と同じように力が強いんだ。



確かに、willはwill notと自分でnotを引っ張ってくるわ。
現在完了のhaveも助動詞なので、have notと自分でnotを引っ張るのね!



なるほど、canがCan you~?と文頭に出ていけるのと同じように、haveもHave you~?と文頭に出ていけるんだ!



その通り!
二人とも飲み込みが早いね。
ただ、現在完了のhaveは動詞の原形ではなく、過去分詞をともなう点が、一般的な助動詞とは違っているので注意が必要だよ。
現在完了の用法(前半)
ここからが現在完了の学習のメインです。
先ほど、現在完了は過去と現在が何らかの形で関係していると説明しました。
では、過去と現在がどのように関係しているのでしょうか? 具体例と合わせて詳しく見ていきましょう。
現在完了の用法① 継続「ずっと〜している」


継続の用法は「ずっと〜している(〜し続けている)」と、過去から現在までの状態の継続を表します。
【例文1】
私は3年間ずっと東京に住んでいます。
I have lived in Tokyo for three days.
3年前(過去)から現在までずっと東京に住んでいる状態を続けている(継続している)ことを意味しています。
過去と現在が関連しているので、現在完了(have+p.p.)で表します。
また、「〜の間」と期間(=時間の長さ)を表すときはforを使います。
【例文2】
私の母は先週からずっと病気です。
My mother has been sick since last week.
こちらは、先週(過去)から現在までずっと病気である状態が続いている(継続している)ことを意味しています。
「〜から、〜以来」と過去の起点(=それがいつから始まったか)を表すときはsinceを使います。
継続の用法とセットで用いる語句(副詞句)


- 文末
for (〜の間),since (〜から、〜以来) - 文頭
How long (どのくらいの間)



継続の用法とセットで用いる語句はある程度決まっているから、「for, since, How long」と何度も唱えて暗記してしまおう!
文中で使われる位置もほぼ決まっているので、標準的な位置も覚えておくといいよ。



forとsinceの標準的な位置は文末、How longは文頭と覚えておくのね。



How longは疑問詞ですね?
ぼくは疑問詞に苦手意識があります…



では、How longの例文を示すので見てみよう。
【例文3】
トムはどのくらいの間ロンドンにいるのですか。- 1週間です。
How long has Tom stayed in London? - For a week.
英語では最も知りたい内容を先頭に出して質問するので、「どのくらいの間」と期間をたずねる疑問詞How longを文頭に置きます。そして、疑問文なのでhasが主語Tomの前に出ていきます。
また、ここでも期間を表すforを使って答えています。
練習問題
(1) 彼は3年間ずっと東京に住んでいます。
He ( ) ( ) in Tokyo ( ) three years.
(2) 私は先週からずっと忙しい。
I ( ) ( ) busy ( ) last week.
(3) 彼女はどれくらいの間フランス語を勉強しているのですか。
( ) ( ) has she ( ) French?
(4) 私たちは長い間ずっと知り合いです。
We ( ) ( ) each other for ( ) ( ) time.
(5) 母は昨日からずっと病気で寝ています。
My mother ( ) ( ) ill in bed ( ) yesterday.
練習問題の解答
(1) has / lived / for (2) have / been / since (3) How / long / studied[learned] (4) have / known / a / long (5) has / been / since



(4)のeach other「お互い」と、for a long time「長い間」は熟語として暗記しよう!
(5)のillは「病気の」と、sickとほぼ同じ意味を表すよ。
現在完了の用法② 経験「〜したことがある」


経験の用法は「〜したことがある」と、過去から現在までの人生において、何回かやったことがあることを表します。経験の回数や経験の有無に言及することもありますが、ここで重要なのは「いつ」経験したのかに重きを置かないことです。いつでもいいから、過去から現在までにやったことがあるのかないのかを話題にします。(過去の「いつ」なのかに言及する場合は過去形を用います)
【例文1】
私は以前にこの本を読んだことがあります。
I have read this book before.
過去から現在までの具体的に「いつ」はともかく、「以前に」読んだことがあると言っています。日本語訳からは過去と現在が関連しているイメージはないかもしれませんが、現在完了(have+p.p.)で表します。
また、「以前に」はbeforeで表します。(ほぼ同内容を意味するago「前に、かつて」は過去時制で用いるというルールがあるため、ここでは使えません)
【例文2】
私のおじは3回カナダへ行ったことがあります。
My uncle has been to Canada three times.
同様に、具体的に「いつ」はともかく、「3回」行ったことがあると言っています。「3回」はthree timesで表します(詳しくは後述します)。
ここで重要なのが、have been to〜で「〜へ行ったことがある」の意味になるということです。これは高校入試頻出ですので、必ず覚えておきましょう!
経験の用法とセットで用いる語句(副詞句)


- 文末
before (以前に),once (1回),twice (2回),X times (X回), several times (何回か),many times (何回も) - p.p.の直前
sometimes (何回か、時々),often (何回も、たびたび),ever (今までに),never (1度も〜ない) - 文頭
How often (何回)
= How many times



さて、ここからが少し大変だよ。
経験の用法とセットで用いる語句はたくさんあって、覚えるのに苦労するかもしれないけど、がんばって完璧に覚えよう!



うわ!
本当にたくさんありますね。これは大変だ…
①の文末に置く表現から説明します。
X timesの「X」には数字を代入して、three times「3回」、ten times「10回」のように使ういます。several times なら「いくつかの回数=何回か」、many timesなら「たくさんの回数=何回も」となります。
また、「2回」はtwo timesともいいますが、普通はtwiceというのでtwiceを優先的に覚えましょう。(two timesは強意的な言い方で、あまり使いません)
【例文3】
私のいとこは2回富士山に登ったことがあります。
My cousin has climbed Mt. Fuji twice.
次に、②のp.p.(過去分詞)の直前に置く表現です。特に、everとneverが重要です。
everは「今までに」の意味で、経験の有無をたずねる疑問文ではeverをセットで使うのが普通です。
また、neverは「1度も〜ない」の意味の否定語で、経験の否定文では原則notの代わりにneverを用いるようにしてください。
【例文4】
私は何回もこのコンピュータを使ったことがあります。
I have often used this computer.
= I have used this computer many times.
【例文5】
あなたは今までにオーストラリアへ行ったことがありますか?
Have you ever been to Australia?
【例文6】
私はこんなに美しい花を1度も見たことがありません。
I have never seen such a beautiful flower.



【例文5】で再びhave been to 〜「〜へ行ったことがある」が出てきているよ。必ず覚えてね!
【例文6】のsuchにも注意が必要だよ。suchは「そんな、こんな」の意味の形容詞で、aの前に飛び出るという特殊な使い方をするんだ。「such a 〜」の形で暗記してしまおう!



覚えることが多くて大変ですね…
でも、頑張ります!
have been to〜「〜へ行ったことがある」、such a 〜「そんな〜、こんな〜」(ブツブツ…)



何度も声に出して唱えるのは、いい勉強法だよ!
さすが努力家のつくばちゃん、ふじくんとは違うね。



とんだトバッチリだ…
最後に、③の文頭に置く疑問詞How oftenは「何回」と経験の回数をたずねます。How many timesともいうので、両方とも覚えましょう。
【例文7】
アリスは何回ニューヨークへ行ったことがありますか。
How often has Alice been to New York?
= How many times has Alice been to New York?



またhave been to〜「〜行ったことがある」が出てきた! 何度も言われたので、覚えちゃいましたからもう十分です。
すずしか先生、いつもながらしつこいですね。しつこい男は嫌われるっていうから、注意した方がいいですよ。



でも、そのおかげで努力が苦手なふじくんでも、自然と覚えてしまっただろ?
しつこく何度も繰り返すことは素晴らしいことだと、ふじくんもようやく気づいたようだね。これでふじくんも努力家に生まれ変わったね!



くっ!
(まんまとハメられた…)



…
練習問題
(1) 私は以前に英語で手紙を書いたことがあります。
I ( ) ( ) a letter in English ( ).
(2) 彼は何度もパリへ行ったことがあります。
He ( ) ( ) to Paris ( ) times.
(3) 私はこんなに古い車を一度も見たことがありません。
I ( ) ( ) seen ( ) ( ) old car.
(4) あなたは今までにその小説を読んだことがありますか。
( ) you ( ) ( ) the novel?
(5) あなたは何回アメリカへ行ったことがありますか。
( ) ( ) have you ( ) to America?
練習問題の解答
(1) have / written / before (2) has / been / many (3) have / never / such an (4) Have / ever / read (5) How / often / been



(1)と(5)にまたhave been to〜「〜へ行ったことがある」が出てきています。
(3)はミスする人が多いです。suchはaの前に飛び出て、「such a 〜」の形で使うことは先ほど説明しました。ただ、ここではaがoldの直前に置かれるので、aではなくanを用いる点に注意しましょう!
以上で、『現在完了①』の講義は終了です。
次回は、現在完了の続きを学習します。しっかり復習しておいてください。